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2018年5月29日(火曜日)

アローの一般不可能性定理

カテゴリー: - susumuhayashi @ 00時14分24秒

経済学に「アローの一般不可能性定理」というものがあり、これがゲーデルの不完全性定理や、
ハイゼンベルクの不確定性原理などの、何かが本質的にできない、ということを主張する定理の一つ
として有名である。

何が、この定理を有名にしているかと言うと、「アローの定理は民主主義は不可能であることを示す」と理解されているからである。

この議論、前々から、実に馬鹿げていると思っていたのだが、それを経済学の社会選考理論などを知らない人たちにも理解してもらえる良い議論はないものかと、以前から思っていたのだが、それを考えつけたようなので、一応書いておく。

アローの定理が、民主主義の不可能性を証明しているという、この主張は、全く馬鹿げた主張で、単に、経済学者ケニース・アローが、「非独裁性」と名付けた条件が、一人歩きしているだけのことなのである。

簡単に言ってしまうと、アローが言っていることは、トーナメント制のゲームだと、誰かひとりがチャンピオンになる。そういうのとまったく同じ理屈なのである。

アローは、「独裁者」を、「その人が選ぶ社会的なオーダーが、その人が属す社会の多数派の選ぶオーダーと同じ(正確には、その人が選んだオーダーが、必ず、多数派が選ぶオーダーになること)になる、そういう人」として定義した。

おそらく、アローは、半ば冗談で、そういう命名をしたのではないかと、僕は思うが、これは実に馬鹿げた定義だ。

独裁者というのは、その権力により、自分の判断を他者に押し付けることができる人のことだが、実は、
アローの一般不可能性定理が証明される社会選考論の数理モデルには、そういう「他者に押し付ける」という
「権力」という行為が全く反映されていない。

つまり、アローが使ったモデルでは、「独裁者」について語ることが、もともと無理なのである。

しかし、なぜが、アローが、「独裁」という言葉を使ってしまったために、誤解が起きているだけなのである。

以前から、これは、不完全性定理などに比べ、無理がある限界論だなと、感じていたアローの定理が
民主主義の不可能性を証明するという主張の無意味さを、難しい数理の話は抜きにして、
説明できることはないかと考えていたのだが、それをできそうなので、このブログの投稿を書いている。

アローの定理の前提条件の中で、「ある人の意見が、必ず、社会の多数派の意見に反映されている」
という、「ある人」を独裁者と呼び、その様な独裁者は存在しない、という「非独裁者性」が民主主義の
前提条件の一つだ、と解釈すれば、アローの定理が、民主主義の不可能性を示す定理だといえる。

しかし、実際には、このアローの定理の「独裁者」の定義に無理がある。そういうことに過ぎない。

例えば、アローが使った数理モデルを反映する、ある現実の社会で、ある人物の意見が、
社会が行う選考、たとえば、選挙結果を完全に予測していたとしよう。アローの定理は、
実は、そういう人間が一人はいるという定理なのである。

しかし、そういう社会で、ある個人が、社会全体の選考(たとえば、選挙)を予測、あるいは、
強制している様に見えたら、その人物を「独裁者候補生」として、危険視して、たとえば、
投獄するとか、死刑にするとか、そういう制度がある社会を夢想することは可能である。

これはアローの数理モデルに何も矛盾しない。そうするとアローの定理が意味していることは、
そういう法的システムを持つ社会、国家では、気の毒なことに、どのように頑張っても、
この制度のために、投獄されるとか、死刑になるとか、そういう「罰」を受けてしまう人が、
少なくとも一人いる、という定理になる。

この被告人を、「独裁者」と呼びたい人がどれだけいるだろうか?


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