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2011年12月25日(日曜日)

田辺元の思想―没後50年を迎えて

カテゴリー: - susumuhayashi @ 18時33分48秒

雑誌「思想」2012年1月号田辺元の思想―没後50年を迎えてが2冊昨日届く。(店頭にでるのは12月27日か?)。
田辺史料の画質がゲラ刷りでは今ひとつで心配していたが、紙質が大変よいので相当に明瞭。定価2100円。
雑誌というよりは書籍だな。値段も紙質も僕には驚き。WEBで値段を見たときには、高すぎだろうとおもったが、
この紙質ならばむしろ安い?

ざっとみて僕の二つのアーティクルだけ、文体が全然違う。竹花君のとかは、内容を講演で聞いて、僕自身の田辺研究がえらく影響を受けたので、
これは比較的楽にわかるが、他は何を言っているのかわからんのが多い。経歴、分野をみると、僕だけが哲学関係者でないので、
まあ、そういうことなのだろう。ちなみに、藤田さんのは、まだ読んでない。もう2年間(3年?)も、
講義を聞かせてもらっているので、藤田さんの田辺理解はよく判っているつもりなので後でいいやと思って後回しにしてしまっている。
杉村さんのも原稿をもらったが、これは、その時点で読んでギブアップ。(^^;)

そういう中で、合田さんという人のアーティクルは、文章も内容も例外的によくわかる。この人の田辺像は僕のものにかなり近そう。
僕が見逃していた史料的事実も書いてあった。デーデキント切断に田辺が肩を持ち始めたのが、留学前とは気が付かなかった。
(調べてみたら、これは昔読んだ所だった。切断を基本列より哲学的に意味があるとしているが、これは数理哲学的に意味がある
というだけで、後年の意味づけとは全く違う。「思想」では、他の人も、これに注意しているが、之は単に田辺がよくやる
良いと思いこんだら、何かと理屈をつけて、それに価値をつけてしまうという議論の一つに過ぎない。ただ、それだけ高校生の
ころに読んだ高木の切断の解説が、田辺にとっては印象深いものだったということの傍証にはなるだろう。2012.02.27)
コーエン哲学にも弁証法があるので、そこらあたりか?田辺自身が書いたものかすると、これが本格的な弁証法を意味するものとは、
まず考えられないが、初期の西田哲学に依拠しての論理主義批判などと合わせて、留学前の弁証法的なものへの興味を再検討した方がよさそうだ。

中には、岩波文庫の田辺元選集だけを読んで書いたのだろうか、などと疑いたくなるようなことが書いてある記事もある。
また、いくつかフィロソフィア・ヤポニカを褒めている著者がいて、エーッ!?、という感じ。後者の方では、中沢多様体哲学論の
一番問題のあるところ、つまり、幾何学的で静的なもので田辺の種の論理を説明するところあたりが、一番、受けがいいらしい。
やはり、ここは一度、ちゃんと書いておかないと駄目だな…そうしないと、際限なく誤解が続きそう。

幸い、今朝、中沢の多様体の哲学の種本である澤口の1991年の論文の議論の構造が漸く分析できたので、
「日本哲学史」に書かせてもらうのは、こちらの方が良いかも。中沢批判だけでは、中沢氏がアカデミック
な学者ではないから、学術論文にならないが、澤口さんのは、一応、その形を成しているので、これを
ちゃんと分析できれば、一応、学術論文になりえる。藤田さんに相談してみよう。

最近、偶々、山本夏彦の文庫本を色々読んでいるが、今朝来たのが、「私の岩波物語」。
明日、岩波本社に行くので、どれくらい悪口が書いてあるかと興味本位で読んだのだが、
悪口ばかりかと思ったら、そういうことは書いてない。諧謔で道理が通っている。お江戸のセンス。
#正義が通っているのではなくて道理ですね…

チクリとやってもブスリとはやらず、正義を振り回さない姿勢など、
故前原先生の世間話を思い出す。僕は若い頃、江戸東京古典落語が好きだったから、こういうのは大好きだ。

唯一、違和感をもったのが、田中美知太郎を引用しての西田・田辺の文体の批判。
彼らの日本語が、不必要に難解で、ほとんどドイツ語のような日本語であることは正しい。
それはそれを苦労しながら何年も読んでいる(読まされている?)僕は良く知っている。
「…といわれる」などというのは、どうみても man sagt … だ。
最初は、何か深い意味でもあるのだろうか、と思っていたものが、
分かってみると「なーんだ!」というのが結構沢山ある。この点、
西田・田辺に限らず京都学派の文体には直感的に反感を覚える。
#といいつつ、最近何か学術的なものを書くと、時々文体が田辺になる
#ことがある。慣れというものは恐ろしい…

しかし、では、田中の批判が適当かというと、それは半分しか妥当性を持たない。
田中は、西田・田辺は日本語で語りえるものと語りえないものを知らないと言ったと
山本は書いているが、これが本当ならば、そこが、一番のポイントで、
田中には大きな誤解(?)があることになる。

西田・田辺が日本的宗教観に影響されていたのは、
間違いないが、京都学派の哲学の中心が、そういうものだというのは、すくなくとも
僕は十分読んだ田辺に就いては間違いだと断定できる。田辺の日本思想は、
西洋人が日本思想を読んでいるようなところが明らかにある。現実の浄土真宗の
土着的雰囲気は田辺の理解する親鸞とは当然ながら随分違う。近代化・
西欧化が著しい本願寺でもそうなのである。

また、最近の藤田さんの講義など聴いていると、西田についても禅とか言い過ぎる
のは間違いらしい。今の一般に流布するイメージは西谷や上田の戦後の活動による
the invention of tradition だろう。

僕には、田辺は、ドイツ人に見える。西田は随分日本的らしいが、それでも
普通の日本人ではない。この二人は、本来日本にはない、ドイツ語ならばピッタリ
くるような思考法を身に着けようとしたと理解すべきだろう。だから、日本語の限界などといっても
こまるのである。目的が日本的なものも越えることだったのだから。
(「も越える」である。つまり、西洋も日本も越える。)

田辺の日記の最初の方のものには、ほとんど日本語がない。ヨーロッパの言語で
メモが記されている。おそらく日本語で適当に語るための方法がないのである。
つまり、西洋的哲学者になろう、その中で、同時に日本的・
東洋的なものを出そうとしたのが、この人たちであるわけで、できたら、全部、
ドイツ語で語りたかったであろう人に、日本語の限界を言っても仕方がない。

で、田中美知太郎は、全部、日本語の限界のなかで語ったのだろうか?
そうだとすると、ちゃんとした哲学(史)はできなかったのではないかと、
疑問に思えてくる。


2011年12月4日(日曜日)

田辺「思想」特集号論文校了

カテゴリー: - susumuhayashi @ 12時08分47秒

岩波「思想」2012年1月号の最終校正をメールで送る。これで校了。ふーッ。

再校が来る直前に新しいことに気が付いて、かなり手直しをさせてもらった。
岩波の対応は、今回も他の出版社とは違い、この際だから、良くできるものは、
ちゃんと良くしましょうというものだった。批判も多いが、やはり岩波は学術的には、
他の出版社と一線を画す。またまた脱帽。

物理、特にテンソル関係の話が、田辺の「切断」の着想の一つになっている可能性が
大きい。全集の種の論理の冒頭の論文が、種の論理以前の「図式「時間」から図式「世界」へ」
であるように、物理、特に一般相対論の世界のイメージの、「世界」の問題が、種の論理の
先駆として大きいことは、以前から指摘されている。それに加えて、「数理哲学」も、この
物理に対する思想がカタリストになっている可能が大きくなってきた!ますますコーエン的というか、
「科学概論」の時代の田辺のコーエン哲学の解釈との同型性が顕になってきた。
そう考えると、田辺の「トンでも性」は、実に腑に落ちる。むしろ「保守的」だったのだ。
#ヒルベルトが「保守的」だったというのと、同じ意味での「保守」。数学では、
#それが本当に保守すべき主流になったが、哲学では消え去ってしまったので、現代からみると、
#「トンでも」に見える。

ちなみに、テンソルとは W.Voigt が作った
用語で、テンションから来ている。このVoigtが使い、佐藤省三も昭和9年の哲学研究の
論文(「社会存在の論理」と同じ号)で引用しているテンソルの図示の方法が、
切断に似ている。Voigtのもとの図式は、それほど似ていないのだが…
ちなみに、Voigtは独逸語読みではフォイクトだそうだ。デンマーク読みだとフォークト。
独逸の人がオランダの読み方だと違うかもしれないなどといっていたから、
どちらかというと独逸本体以外の名前なのかもしれない。
FORVOでは、デンマーク読みでフォークト、独逸語でもフォークト。
http://ja.forvo.com/word/riborg_voigt/#d
http://ja.forvo.com/word/voigt/
佐藤はフォーグトと書いている。
ゲッチンゲンの物理の教授で、学長もつとめていて、ヒルベルトの物理の公理化の
研究についての Leo Corry の著作でも取り上げられていた。


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